設立ストーリー
はじまり 3人からの出発
1984年(昭和59年)の冬、折笠直彦(初代所長)の家に三人がそろった。
かねてから3人の間で話題になっていた「家族の会」をつくるための結論を出すためであった。
この数年、折笠を通して伊東に持ち込まれる精神障害にかかわる相談件数が時を追って増えだしていた。折笠は子どもが精神分裂病(のちに統合失調症と改称された)を発症してから十数年間、子どもと一緒に病院に通っていた。そのため、自分と同じように精神障害の子を持つが故の悩みを持つ多くの親と知り合いになっていた。定年退職を間近にしてからは少しは心の余裕もできて、同じ境遇にある親の相談に取り組むようになっていた。
相談はすぐ近居に住む市議会議員の伊東達也(現在法人理事)にもちこまれていたのである。伊東は障害年金の取得や生活保護など生活にかかわる問題は解決を見つけ出せたが、病気については少しばかり本を読んだぐらいではどうしようもなかった。そこで伊東は、国民旧宴会(人権と民主主義擁護の活動をしている民間団体)で知り合っていた、精神科の看護師として働く渡部政俊に相談するようになった。
こうして自然に3人の相談体制ができたが、渡部は自分の体験から3人だけの相談活動で終わってはダメだと良い、本人とともに混乱し、どう対応したらいいのかわからないなどたくさんの悩みを抱えている家族が交流し、勉強する「家族の会」をつくる必要性を当初から説いていた。
折笠も伊東も体験からその必要性は十分にわかっていたが、だれが中心になるのかが問題であった。
折笠はこの日、意を決した。国家公務員をしりぞいたら、世話になってきた地域の仕事と精神障害問題にかけるといった。
折笠を中心に親の会を立ち上げる取り組みが始まった。しかし、相談にくる人たちは障害をもった子どもをかかえて自分の生活で精一杯のうえに、世間の精神障害に対する偏見の壁に押しつぶされ、入会に同意する親は少なかった。それでも半年をかけて、8家族が家族会結成に賛同した。
(「10周年記念誌」より抜粋)
県ではじめての場所
こうして、昭和60年9月26日に、いわき市精神障害者家族の会、略称「けやきの会」が結成されました。
精神障碍者を持つ家族はこの病気に対する差別と偏見が強く、ひとり悩み苦しんでおりましたが、家族会を結成することによって家族同士が話し合うことができるようになったのです。
「けやきの会」の毎月の定例会では、お互いの話をするだけでなく、精神障碍者の歩んできた歴史や施策の現状などまで広く学びあいました。
やがて「病院では教えてもらえないことが学べる」と入会する人が一人、二人と増えます。
「働く喜びや、生きる喜びを体験してもらいたい」。
その一心で、少しずつ募金活動をはじめ、各所を駆け回りました。
そして「けやきの会」結成から3年後の5月、みんなの希望であった「けやきの会共同作業所」が開所いたしました。当時は補助金もなくプレハブで、奉仕活動によって支えられた毎日でした。
法人化への荒波
通所者ははじめの1年で倍になり、年を追うごとに増えていきました。
新築するほどの資金はなく、小さなプレハブを継ぎ足し継ぎ足ししておりました。やがて雨漏りするようになり、暑さ寒さの苛烈な環境を改善することが急務となりました。同時に、職員の給料と通所者の賃金の底上げも要されました。
これらの問題を解決するため、公的な補助が得られる「法人格になりたい」という願いが生まれました。
正直にお話しすると、順調な時ばかりではありませんでした。社会福祉法人の資格を取るには、自前で土地を所有することが前提です。すべての準備が整ったとき、どうしても同意が得られず、涙を流すこともありました。
それを乗り越え、一大飛躍することができたのは、「けやきの会共同作業所を支える1000人の会」の発足でした。金銭的な支援はもとより、「支える会」の活動は、それまでとはまた違った市民の理解を得る大きな役割を果たしていただきました。
広がりと変わらないもの
社会福祉法人希望の杜福祉会となり、同年12月に新築の「けやき共同作業所」を開所いたしました。2年後には篤志家のご寄付をいただき、地域生活支援センター「スペースけやき」を開所、さらに翌年は所得補償をめざした「工房けやき」を開所しました。
年を重ねるごとに活動を広げ、現在、希望の杜福祉会で運営する事業所は11箇所、
就労継続支援B型事業所(いわき3か所(出張所2カ所)、楢葉町2カ所)
放課後等デイサービス(いわき1カ所)
共同生活援助(いわき1カ所、楢葉町1カ所)
いわき市委託事業
地域生活支援センター
利用者は延べ42,833人となりました。
しかし、それでもまだまだ不足しているのが実情です。
精神障害は人類共通のもので、百人に一人の割合であらわれる、人間にとっては一般的な病気です。幸い薬の発達によって症状を抑えることができるようになっています。しかし、再発を防ぎ、後遺症ともいえる生活障害を克服すること、そして社会復帰すること、これは薬だけではできません。
その役割を果たしているのが、まさに作業所なのです。
私たちはこれからも、人権の尊重・平和・博愛・平等を重視し、人類の福祉をはかるというヒューマニズムを継承し、その発展をめざして関係者一同今後とも努力を続けていくことをお約束いたします。
わたしたちの理念
- 地域における共同の事業や運動をともにすすめ、障がいのある人びとが生きがいと誇りをもてる社会をめざします。
- 障がいのある人びとが社会に参加し、また地域での豊かな暮らしをともに築く権利の保障をめざします。
- 障がいのある人びとと関係者一人ひとりが大切にされる事業体として、責任ある経営をめざします。
各事業所通所者数
65歳以上 | 50代 | 40代 | 30代 | 20代 | 10代 | |
スペースけやき | 2 | 21 | 10 | 6 | 6 | 2 |
工房けやき | 2 | 5 | 6 | 3 | 3 | 0 |
あとりえ北山 | 7 | 10 | 9 | 11 | 12 | 1 |
きぼうの里 | 5 | 9 | 2 | 13 | 11 | 3 |
ふたばの里 | 5 | 10 | 3 | 9 | 3 | 1 |
合計 | 21 | 55 | 30 | 42 | 35 | 7 |
2023年11月現在
ご利用の流れ
- 利用者からいわき市へ、各地区保健福祉センターにて申請します。
- いわき市から利用者へ、障がい支援区分認定調査や、サービス利用の移行聴取などが行われます。
※18歳以下の方に関しては簡単な調査後、サービス利用意向の聴取となります。 - いわき市から利用者へ、決定の通知が来ます。
- 利用者と事業者で契約し、サービス利用の開始となります。
詳しくは、お電話やお問い合わせフォームよりお尋ねください。
こちらもご参照ください。
リンク:障害者総合支援法の概要
事業概要/アクセス
- 法人名
- 社会福祉法人希望の杜福祉会
- 住所
- 970-8026
福島県いわき市平字北目町39-10 - 電話番号
- 0246-38-6201
- FAX
- 0246-38-6202
- 営業日時
- 月 火 水 木 金(8時30分~17時15分)
- 設立
- 1999年3月30日
- 法人格取得年月日
- 1999年4月16日
- 最新決算総額
- 1億円~5億円未満
- 役員・職員数
- 89名(令和6年4月現在)
- 事業内容
- 障害福祉サービス事業(就労継続支援B型)
地域活動支援センター
障害児通所支援事業(放課後デイサービス)
共同生活援助
支える会会員募集
わたしたち希望の杜福祉会では、「けやきを支える1000人の会」のメンバーを募集しております。
障がいのある人びとが生きがいと誇りをもち、地域の方々との豊かな暮らしを築いていくことにまい進するための、活動費用とさせていただきます。
入会いただいた方には、特典として広報誌「支える会つうしん」や「支える会」主催のイベントへのご案内等ご用意しております。
どうぞお力添えを頂ければ幸いです。
会費
特別会員(法人・事業者さまのみとなります):一口 1万円
正会員:月500円 年一括払い5,000円
賛助会員(学生さまを含みます):月300円 年一括払い3,000円
※なるべく一括払いでお願いします。
一般会員 2000円
企業会員 5000円
会員への流れ
申込は支える会事務局へお問い合わせください。
0246-37-8517
担当者 高橋